【徹底解説】”目に優しい”LEDデスクライトとは?

デスクライトを使う理由は、光で目の負担をやわらげ、疲れにくくするからですよね。
一方で光がLEDとなり、ブルーライトなど、逆に目への負担も気になります。
LEDになって、眩しく感じる不快な感じがする、など疲れてしまう方もいらっしゃるようです。

眩しい光

だから、できるだけ自分に合った目に優しいデスクライトを選ぶのが良いと思います。
でも、目に優しいデスクライトって、どうやって選ぶ?

そんな疑問に、
デスクライトの構造から仕様、LED素子、そして光について、
LEDの専門家が徹底解説します。



① LEDデスクライトの構造

デスクライト
まずはLEDデスクライトの構造から押さえておきます。
デスクライトは、
・発光部がある「セード部」
・セードを支え、高さや角度を調整する「アーム部」
・台座となる「ベース部」
で構成されています。
クランプ型のデスクライトでは、ベース部がクランプする部品に置き換わります。

まず、LEDデスクライトの「アーム部」も、”目に優しい”に抑えておくべきポイントです。
光源が視界に入ると、勉強や作業の邪魔ですよね。
アーム部の高さは35cm以上のものがオススメです。>

光源がLEDになることで、特に光に関係のある「セード部」の構造が従来の器具から大きく変わっています。
”目に優しい"に関連する内容なので、図で詳しく説明しておきます。


デスクライトのセード構造
従来の電球や蛍光灯タイプでは、光が光源から全方向に出るため、
セード部の反射をうまく利用して光を柔らかく、調整することが出来ました。
一方で、LEDタイプの場合、粒々に並んだLED素子からは、光が特定の方向に出るため、
直接的に光を活用することができます。
LEDタイプのメリットは、
・セードを薄く設計することができ、デザイン性に優れている
・発光効率が良く、ECOであり、かつ、セードの温度が従来のタイプに比べて高温になりにくい
等があるので、世の中のデスクライトはほとんどがLEDタイプに置き換わっています。

ちなみに、LED素子って、こんな感じです。

LED素子
LED素子の大きさは、デスクライトでは一般に5mm以下のものが使われます。
でも、一つのLED素子に入っている、本当の光源部分は、1mm⊡以下。とっても小さいです。
だから、LEDは一般に点光源となります。


② 多重影の問題

LEDデスクライトの多重影
では、ここからが本題です。
目に優しいためには、まずは見やすいことが大事ですよね。
LED素子からの光は"点光源”なので、そもそも「多重影」が出来易いという特性があります。
光の影がたくさんできると”見にくく”、”目が疲れる”原因になりますね。

多重影
LEDデスクライトでは、この多重影問題を解決するために、いくつかの対策が取られています。

【多重影対策 ポイント1】
一つは、セードの前面に拡散板を取り付けることです。
拡散板やセードの内部で乱反射をさせることで、より光を柔らかく、光らせることができます。
拡散板の効果が弱いと尖った光となって、多重影が出来易くなります。
しっかりと光拡散効果のある拡散板であることで、より面としての光に近づき、多重影ができにくくなります。
消灯時に、LED素子が透けて見えるようであれば、光拡散効果は小さいので、
LED素子が透けて見えないくらいの拡散板のデスクライトを選びましょう。

デスクライト多重影-拡散板
【多重影対策 ポイント2】
もう一つは、LED素子をたくさん密集して並べることです。
LED素子をたくさん並べると、メーカーにとっては、コストアップの原因となりますが、
たくさんLED素子があることで面としての光に近づき、多重影ができにくくなります。

デスクライト多重影-LED密度
【多重影対策 ポイント3】
さらに大事なのは、なるべく広い発光面であることです。
LED素子をたくさん並べて、より広い発光面であると、メーカーにとっては、さらなるコストアップの原因となりますが、
発光面が広いことで光が影の方に回り込みますので、多重影ができにくい形となります。
良い質の光にはより高いコストがかかってしまいます。

デスクライト多重影-発光面
それでも、多重影は集中や疲労にも関係するので、是非ともこだわっておきたいポイントです。


③ 光の量や照度

次に明るさです。
デスクライトとして使うには、十分に明るいことが大事です。
それと併せて、明るすぎないことも大事です。
つまり、適切な明るさで照らすことが、目に優しいということですね。

明るさの基準には、代表的なものに、光束(ルーメン lm)照度(ルクス lx)というものがあります。
先ほどのJISに規定されているのが、照度なので、デスクライトには照度lxの表示が良く使われています。

それでは、照度lxから説明をしましょう。
「照度」は、適切な明るさは、日本工業規格(JIS)に基準が定められていて、
例えば、
  • 図書室 500lx
  • キーボード操作 500lx
  • 勉強 750lx
  • 精密製図 750lx
などです。
照度:2000lx、といったデスクライトもたまにありますが、実際に使うには、2000lxの照度は明らかに明るすぎです。

目に優しいデスクライト

デスクライト 照度説明
上の図にあるように、照度はある場所の明るさを示します。
だから、勉強や作業をする上で、机の上はどれくらいの明るさであるべき、というときに「照度 lx」の単位が使われます。
ただし、照明器具の性能を示す、ということを正確に伝えるものではありません。
例えば、ある1点だけ明るくて、周りがとても暗い場合は、デスクライトとしての性能を判断することは難しいです。
また、発光面からどれくらいの距離であるかによっても、照度は変わってきます。
照度 lxの値に「机上面からの距離」という文言があるのはそのためです。

デスクライト 照度-範囲
例えば、1点だけを明るくするように設計したライトは、照度を高くすることが出来ます。
でも、周囲が暗いので、デスクライトとしては使いにくいものになってしまいます。 そのため、セード部がある程度大きく、なるべく広い発光面であることで、
より広い面積に対して、均一な照度とすることができます。
明るい場所と暗い場所を交互に見ることは、目が明るさの変化に対して、光が入ってくる量を調整しようとするため、
目の疲労の原因となります。照度も大事ですが、その照度がどれくらい広い範囲に保たれているか、
光の広がり具合を見ることが大事です。

照度-距離
さらに、照度は、光源からの距離によって大きく変わります。
(距離が2倍になれば、照度は1/4になります。)
セード部の位置が、十分に実用的な高さからの光で照度の値を確認することが大事です。

そのため、光量の指標である光束 lmの値を参考にするのも良い指標となります。
光束 lmは光源の位置や高さによる影響を受けません。

デスクライト 光束
光束は、出てくる光の量全体を示すので、器具の設置条件に関係なく、
デスクライトの光出力性能を知るには、役に立つ指標です。
電球の40Wタイプの光束が485lmとされているので、デスクライトとしては凡そ 450lm以上あれば、
十分な明るさと言えるでしょう。
しかし、光束が300lm程度であれば、ミニクリプトン球程度しかなく、
狭い範囲しか十分な照度が得られなかったり、全体に暗かったりと満足の明るさが得られないかもしれません。
つまり、照度(1000lx以上あれば十分)と光束(450lm以上あれば十分)を両方見て、
デスクライトを選定されるのが良いと思われます。
ちょうど良い明るさとするのに、光の調整は無段階か5段階以上であるものがオススメです。


④ フリッカー(ちらつき)

ちらつき(フリッカー)も、優しい光かどうかについて、抑えておきたいポイントです。
ですが、今のデスクライトでは、よほどのモノでない限り、フリッカーが問題になるということは無いでしょう。
気になるようでしたら、携帯のカメラで光源を撮影し、大きな縦じまが出るようでしたら、
フリッカーが大きいということで、確認をすることができいます。


⑤ LEDの光の安全性(ブルーライト)

最後に、最も大事な光の質について

特に、LEDからのブルーライトについて、気にされている方が多いのではないでしょうか?
それだけでなく、色の再現性を示す演色性や、紫外線スペクトルのなだらかさなど様々な指標があります。

LEDの光源は、一般的に青色のLEDチップと黄色などの蛍光体の組合せによって白色が作られます。
青色チップは、LED素子の中にあって、蛍光体が無ければ、LED素子は青色の光で光ります。

ブルーライト

このLED素子からの青色光が、網膜傷害を引き起こすとされる波長のピークと被っているので、ブルーライトハザードとして懸念されています。
ブルーライトというと、テレビやスマホのモニターからの光について言われますが、
LED照明にもブルーライトが含まれます。
デスクライトは目に近い光源で、紙からの反射もあるので、チェックしておきたいポイントです。
ブルーライトにはIEC62471(JIS C7550)に規定される「青色光網膜障害」によって一般に評価されます。

基準値によって、
a) 免除グループ 何らの光生物学的傷害も起こさないもの。
b) リスクグループ1(低危険度) 通常の行動への制約が必要になるような傷害を引き起こさないもの。
c) リスクグループ2(中危険度) 嫌悪感及び熱的な不快感を伴う傷害を引き起こさないもの。
d) リスクグループ3(高危険度) 一時的又は短時間の露光によっても傷害を引き起こすもの。
とグループ分けされます。 通常のLEDであれば、リスクグループ1以下なので、安全なレベルなのですが、
目を気遣うには、a)免除グループの方がより安心ですね。


eyesafe_test_curali_data
参考:IEC62471評価結果 curali

なお、LEDの中には、青色光では無く、紫色の光を光源にしたタイプもあります。
紫外線ではなく、あくまで紫色の光なので問題無いのですが、
赤<黄<緑<青<紫の順に光のエネルギーは強くなっていきます。
ですから、できれば紫色の光を含まないLEDの方がより優しい光と言えるでしょう。



⑥ LED光の質

LEDの光は安全性だけでなく、光の質によって見え方が変わるため、
光の質も目に負担をかけない、という点で重要です。
光の質は、色の再現性(演色性)で表されるのですが、
演色性が高いと、より色を忠実に再現していて、
演色性が低いと、色の再現性は良くないです。(最大は100)
照明に使われる場合、基準としては、80という指標が最低ラインであって、
デスクライトとして目の近くで使われる照明であれば、できれば演色性90あたりのデスクライトがオススメです。


演色性

さらにスペクトルのなだらかさという点もより自然な光であるか?という点で重要です。
スペクトルというのは、それぞれの色成分の光の強さをグラフにしたものです。
太陽の光はある程度均一に全ての色成分があるため、このスペクトルがなだらかになります。
しかし、一般的なLEDはスペクトルに谷間を持っていて、谷間の色成分は正確には表現できません。
また、スペクトルの谷間のあたりの光は、体内時計調節にも重要だと言われています。

太陽光とLED光

太陽光は紫外線や赤外線があるので、太陽光が目に安全な光という訳ではないですが、
なるべくであれば、より自然に近い、谷間の小さいスペクトルの光源がオススメです。

例えば、curalのデスクライトであれば、ブルーライトを抑えた、谷間の小さい連続的な光成分の光が得られます。
高い質の光で、紫色の光源も使用しておらず、お子様にも安心してお使いいただけます。

curalのスペクトル


⑦ まとめ

ここまでお読みいただき、有難うございました。
目に優しいLEDデスクライトを選ぶのに、確認する点は、
a) 35cm以上のアーム高さ
b) 広い発光面となるべく多くのLED素子が搭載されているタイプ
c) 照度は最大で1000lxで十分です。広い発光面で、光束(光の量)が400lm以上のタイプ
d) 演色性(色の再現性)はできれば90あたりが好ましい
e) ブルーライトを抑えた光をもつタイプ
f) 紫外線や高いエネルギーの光(紫色)などが含まれないタイプ
となります。
目に優しいデスクライトの選び方に、ぜひ参考にしてみて下さい。